「競争」ではなく「ランニングの楽しさ」を重視
HOKA(ホカ)は「Joyful Performance(ジョイフルエクスペリエンス)」というブランドメッセージを掲げています。このメッセージは、スポーツ市場でよく見られる「勝利」や「競争」を強調する従来の価値観とは異なり、「すべてのランナーが楽しく走ること」を目指しています。独特な厚底デザインと軽量性を両立したシューズは、快適性だけでなく個性を重視する多くのランナーに支持されています。
「ホカはランニングの楽しさを最優先するブランドです。目立つデザインやカラーは、個々のユーザーのニーズを反映したもので、すべてのランナーが主役となれるようにしています。」とジョイワークスのキム氏は語ります。
また、今年展開されたグローバルキャンペーン「Fly Human Fly」は、「私たち全員が飛躍できる力を信じ、自分の限界を超えていこう」というポジティブなメッセージを発信し、ランナーたちの心を掴んでいます。
HOKAの韓国マーケティング戦略を指揮するキム氏
HOKAは2019年に韓国市場へ導入され、ユニークな厚底デザインと高い機能性を武器に急成長を遂げているランニングシューズブランドです。その韓国市場での成功を支えているのが、ブランド運営の専門企業ジョイワークスです。ジョイワークスは、ドクターマーチンやニューエラ、コロンビアなど、数多くのグローバルブランドを韓国市場で成功に導いた実績を持ち、現在では「ブランドアクセラレーター」として注目されています。
そのジョイワークスでHOKAの韓国マーケティング戦略を統括しているのが、マーケティング本部長のキム・マニ氏です。キム氏は、弘益大学産業美術大学院の非常勤講師を務めた経験を持ち、これまでにドクターマーチンやニューエラ、コロンビアなどのグローバルブランドでマーケティングの成功を牽引してきたベテランマーケターです。今年初めにジョイワークスに加わり、HOKAのブランド特性を活かしつつ、韓国市場の動向に最適化したマーケティング戦略を展開しています。
キム氏は次のように述べています。
「コミュニケーションやデジタルパフォーマンスマーケティングを専門とする者として、ブランドアイデンティティと消費者の心にあるブランドイメージの重なりが強力なブランド形成において重要だと考えています。以前、フォーカスグループインタビュー(FGI)を実施した際、その重なりが大きかったのがHOKAというブランドでした。そのポテンシャルに惹かれ、ジョイワークスに参加したのです。」
個人の嗜好に焦点を当てる新しいマーケティング
HOKAは、ターゲティングにおいて世代や性別といったデモグラフィックな視点ではなく、個々の嗜好に最適化することを重視しています。たとえば、10代と40代が同じランニングコミュニティに所属している場合、年齢の違いよりもランニングそのものへの関心や楽しみ方が重要です。
「デジタル時代において最も重要なのは、個人のアイデンティティと嗜好です。MZ世代などのカテゴリーはマーケターにとって便利な分け方ですが、その中には無数の多様な嗜好があります。私たちはそれぞれの嗜好に合わせたターゲティングを目指しています。」とキム氏は説明します。
HOKAは特に以下のようなユーザー層に焦点を当てています。
- 高度なテクニカル性能を求めるランナー
- デザインやスタイルを重視するランナー
2. デジタル時代における「ブランドの一貫性」
キム氏によると、デジタル時代において「真のブランド価値」を示すのは、単にトレンドを追うことではなく、一貫性を持った独自のメッセージを発信し続けることだと指摘します。
「真のブランドの一貫性は、消費者がその価値を認め、信頼してくれることで初めて生まれます。ホカは『個人の成果と成長を支援するブランド』というメッセージを軸に、他ブランドとの差別化を図っています。」
3. オフライン体験をデジタルに転換する柔軟な戦略
HOKAは、新興ブランドならではの柔軟性を活かし、オフラインのランニング体験をデジタル領域に転換しています。さらに、小規模なランニングクラブやSNSを活用し、ユーザー同士のつながりを重視する「グラスルーツマーケティング(Grassroots Marketing)」を展開しています。
「個人の体験が他の消費者へ広がる構造を意識し、コミュニティ型マーケティングを推進しています。このような戦略がデジタル時代に適した真のブランド成長を実現します。」とキム氏は述べています。
この記事は韓国のテクノロジー情報サイトtech42との提携のもと作成しています。