Contents
2025年2月14日施行:韓国電子商取引法改正とダークパターン規制

背景
韓国では、消費者保護を強化するための電子商取引法の改正が実施されました。この改正の主な焦点は、消費者を意図せず不利な決定へ誘導する”ダークパターン”の規制です。韓国公正取引委員会は2023年よりダークパターンの規制導入を推進し、2024年2月13日に改正電子商取引法が国会を通過しました。
この改正により、6つのダークパターン類型が直接規制対象となり、2025年2月14日から施行令・施行規則が適用されました。
日本のオンラインサービス提供企業も韓国市場で事業を展開している場合、これらの規制の適用内容を理解し、必要な対応を検討することが求められます。特にサブスクリプションサービス、ECサイト、アプリ事業者にとって、UI/UX設計の見直しが求められます。
主要な改正内容
1. 隠れた更新の規制(サブスクリプション料金の増額・有料転換前の消費者同意)
定期決済サービスの料金増額や、無料トライアル後の有料転換を行う場合、
- 30日以内に消費者の同意を取得すること
- 解約方法を明確に通知すること
2. 繰り返し干渉の規制(選択・決定変更の制限期間)
消費者が一度選択した内容(例:無料トライアルの解約、オプトアウト設定)について、
- 繰り返しポップアップなどで変更を促す行為を禁止
- ただし、7日以上同様の要求を受けない設定が可能な場合は例外
3. 段階的な価格表示の規制(総額表示義務)
- 初回表示時に、追加料金を含めた総額を明示しない行為を禁止
- 正当な理由がある場合は、ポップアップなどで除外項目と理由を通知可能
4. ダークパターン違反に対する制裁基準
違反した事業者には、以下の罰則が科される可能性があります。
- 最大500万ウォン(約50万円)の罰金
- 条件付きで1年以内の営業停止
- 課徴金処分
日本企業への影響と対応策
韓国市場でオンラインサービスを提供する日本企業にとって、この法改正は重要な影響を及ぼします。特に以下の対応が必要です。
- UI/UXの見直し:消費者が意図せず有料サービスへ移行しないよう、サブスクリプションの設計を透明化
- 価格表示の適正化:韓国市場向けのウェブサイトやアプリで、初回表示時に総額を明示
- 解約手続きの簡素化:消費者がスムーズに解約できるよう、分かりやすいUIを設計
まとめ
韓国の電子商取引法改正は、ダークパターンの規制を明確化し、消費者保護を強化するものです。日本のオンラインサービス事業者も、韓国市場での事業展開においてこれらの規制に対応する必要があります。
適切な対応を行うことで、消費者の信頼を得るとともに、コンプライアンスリスクを回避できるでしょう。
韓国市場での展開を検討している日本企業は、今後の動向を注視しながら、早めの対応を進めましょう。